別表ごとの試験項目の違い|絶縁耐力・温度上昇試験は何が変わるのか

別表解説

別表ごとの試験項目の違い|絶縁耐力・温度上昇試験は何が変わるのか

別表第八・第十と別表第十二の違いについては、これまでも制度面・実務判断の両面から解説してきました。今回はさらに一歩踏み込んで、実際の試験の現場で何が測定され、基準値がどう異なるのかを、代表的な試験項目に絞って解説します。

試験項目の名称だけを見て「同じ試験だから結果も同じはず」と考えてしまうと、思わぬところで基準値の違いに気づかず、後になって不適合が発覚することがあります。試験に立ち会う機会がない事業者ほど、この違いを知らないまま進めてしまいがちです。

試験項目の全体像

PSE試験で確認される代表的な項目には、絶縁耐力試験、温度上昇試験、異常時試験、機械的強度試験などがあります。別表が変わっても項目名自体は共通していることが多いですが、試験条件・基準値・判定方法に細かな違いがあります。

絶縁耐力試験の違い

絶縁耐力試験は、製品の絶縁部分に規定の電圧を一定時間印加し、絶縁破壊が起きないかを確認する試験です。

  • 別表第八・第十:国内基準に基づく印加電圧・印加時間が規定されており、日本国内向けの絶縁設計を前提とした基準になっています
  • 別表第十二:IEC規格ベースの基準が適用され、国内基準とは印加電圧の算出方法や絶縁距離の考え方が異なる場合があります

実務上重要なのは、どちらの基準でも「絶縁耐力試験」という名称は共通しているため、書類上の記載だけを見て同じ試験だと誤解しないことです。基準値の算出根拠まで確認する習慣が必要です。

温度上昇試験の違い

製品を通常使用状態で稼働させ、各部の温度上昇が許容範囲内に収まるかを確認する試験です。

  • 別表第八・第十:測定箇所・許容温度上昇値が国内基準として細かく規定されています
  • 別表第十二:IEC規格の分類に基づいた測定箇所・許容値が採用され、部材の絶縁クラスごとの基準値の考え方が国内基準と異なります

直流電源装置のように発熱しやすい製品では、この温度上昇試験の基準の違いが、規格選定の結果を左右することもあります。

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異常時試験・機械的強度試験の違い

異常時試験は、製品に意図的に異常な状態(過負荷や短絡など)を発生させ、安全に停止するか、発火・破裂などの重大事故に至らないかを確認する試験です。機械的強度試験は、落下や衝撃に対する耐久性を確認します。

これらの試験項目についても、判定基準の細部(許容される損傷の程度、停止までの時間など)が別表ごとに異なるため、試験機関から提示された基準値をそのまま鵜呑みにせず、根拠となる規格を確認することをおすすめします。

その他の試験項目でも見られる違い

耐湿試験・防水試験

屋外使用や水回りでの使用が想定される製品では、耐湿試験・防水試験の条件も別表によって異なります。試験時間や湿度条件の設定が異なるため、想定使用環境が国内基準とIEC規格のどちらの前提に近いかによって、適合のしやすさが変わってきます。

表示・警告ラベルに関する要件

直接の性能試験ではありませんが、製品に表示すべき警告文言や記号についても、別表ごとに求められる表現・様式が異なる場合があります。試験に合格しても、表示要件を満たしていなければ最終的な適合とは認められないため、あわせて確認が必要です。

実務で試験項目の違いに気づいた事例

あるコードレス掃除機の試験で、温度上昇試験の測定箇所について、事業者側が想定していた箇所と、実際に試験機関が測定した箇所にズレがあったケースがありました。事前に「この規格ではどこを測定するのか」を具体的に確認していなかったことが原因で、想定より厳しい結果が出てしまいました。試験開始前に測定箇所の一覧を試験機関からもらっておくことで、こうした認識のズレは防げます。同様の確認不足は、初めて試験に立ち会う事業者ほど起こりやすい傾向があります。

試験項目の違いを理解しておくメリット

試験項目の違いを事前に理解しておくと、次のようなメリットがあります。

  • 試験機関からの説明を正確に理解し、不明点をその場で確認できる
  • 不適合が出た際に、設計変更で対応すべきか、規格選定自体を見直すべきかを判断しやすくなる
  • 製品開発の初期段階から、どちらの規格を想定した設計にするかを決めやすくなる

試験機関に確認しておくべき質問リスト

試験を依頼する際、あらかじめ次のような質問を試験機関に投げかけておくと、試験項目の違いによる後戻りを防ぎやすくなります。

  • この別表における絶縁耐力試験の印加電圧・印加時間の具体的な数値は何か
  • 温度上昇試験で測定する箇所は、製品のどの部位を想定しているか
  • 異常時試験で不適合となった場合、どの程度の設計変更が必要になりそうか、事前の見立てはあるか

これらを試験開始前に確認しておくことで、試験結果が出てから初めて基準の違いに気づくという事態を避けられます。

よくある質問

Q. 試験項目名が同じなら、どちらの別表で試験しても結果は同じですか?

A. いいえ、項目名が同じでも基準値・測定条件が異なるため、結果が変わることがあります。特に境界線上の性能の製品では、別表の選択によって適合・不適合が分かれることもあります。

Q. 試験項目の詳細はどこで確認できますか?

A. 経済産業省が公表している技術基準の告示や、JETなどの試験機関が提供する資料で確認できます。判断に迷う場合は、試験機関に直接問い合わせるのが確実です。公表資料は専門用語が多く読み解きにくいため、まずは試験機関の担当者に噛み砕いて説明してもらうところから始めるのが実務的です。

試験項目の違いは、制度の説明だけを読んでいても実感しづらい部分です。可能であれば試験機関に測定方法や基準値の考え方を直接質問し、自社の製品にとってどちらの規格がより適しているのかを、感覚ではなく具体的な根拠を持って判断できるようにしておくことをおすすめします。

製品カテゴリによる試験項目の重み付けの違い

同じ別表を使う場合でも、製品カテゴリによってどの試験項目が特に重視されるかは異なります。例えば発熱しやすい直流電源装置や電気天火では温度上昇試験の比重が大きく、リチウムイオン電池を搭載する製品では異常時試験の内容がより詳細に確認される傾向があります。自社の製品がどの試験項目で特につまずきやすいのかを、事前に試験機関や過去の類似製品の事例から把握しておくと、試験全体の見通しが立てやすくなります。

まとめ:試験項目理解のチェックポイント

? 試験項目理解のチェックポイント

  • □ 絶縁耐力試験の印加電圧・印加時間の根拠規格を確認したか
  • □ 温度上昇試験の測定箇所・許容値が別表ごとに異なる点を理解しているか
  • □ 異常時試験・機械的強度試験の判定基準を試験機関に確認したか
  • □ 製品開発の初期段階から想定する規格を決めているか

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