電動工具を輸入・販売する際、「これはPSE対象なのか?」と迷う方は少なくありません。
電動工具は種類が多く、同じ「電動工具」であっても
- 交流式(コード付き・AC100V)
- 直流式(DC専用)
- 充電式(バッテリー式)
によってPSE対象かどうかの判断が異なります。
今回は、この3タイプの違いと、私自身が電気のこぎりのPSE届出を実際に対応した際の経験をもとに解説します。
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1. 電動工具のPSE対象の基本的な考え方
電気用品安全法では、電動工具は「電動力応用機械器具」として分類されます。
PSE対象になる基本条件は以下のとおりです。
- 定格電圧が100V以上300V以下
- 定格周波数が50Hzまたは60Hz
- 交流の電路に使用するもの
この「交流の電路に使用するもの」という条件が、3タイプの判断を分けるポイントになります。
2. 交流式(AC100V・コード付き)はPSE対象
家庭用コンセント(AC100V)に直接接続して使用するコード付きの電動工具は、PSEの対象になります。
代表的な製品例
- コード付き電気ドリル
- コード付き電動のこぎり
- コード付き電動グラインダー
- コード付き電動サンダー
これらはAC100VをそのまままたはAC電源から直接駆動するため、PSE対象となります。
なお、電動工具の品目には消費電力の上限規定がないものも多くあります。ただし、三相電源専用や工場設備専用など、一般用電気工作物(家庭用100V)に接続できない機器は対象外として扱われるケースがあります。
3. 直流式(DC専用)はPSE対象外
DC電源(直流)のみで動作する電動工具は、交流電路に接続しないためPSE対象外になります。
ただし、AC100VをDCに変換する充電器や電源アダプターが別に必要な場合、その充電器・アダプター自体がPSE対象になる点は注意が必要です。
4. 充電式(バッテリー式)のグレーゾーン:充電器がポイント
充電式電動工具で最も判断に迷うのが「工具本体」と「充電器」の扱いです。
整理するとこうなります。
工具本体(バッテリー駆動)
→ 交流電路に直接接続しない
→ PSE対象外
充電器・充電アダプター
→ AC100Vに接続する
→ PSE対象(直流電源装置として届出が必要)
充電式電動工具を輸入する際は、工具本体ではなく充電器のPSE対応を忘れないことが実務上の重要なポイントです。
5. 実務でよくある判断ミスと注意点
ミス①:「電動工具だからすべてPSE対象」と思い込む
バッテリー式の工具本体はPSE対象外ですが、充電器はPSE対象です。セット販売の場合は特に混乱しやすいので注意が必要です。
ミス②:銘板の記載事項の確認漏れ
PSEラベルに必要な記載事項(定格電圧・定格消費電力・届出事業者名など)は製品によって異なります。
特に中国製品では、製品ごとに銘板の記載内容が変わっているケースがあります。輸入する製品が複数ある場合は、1製品ずつ銘板の内容を確認することが重要です。まとめて確認しようとすると、記載ミスや抜け漏れが発生しやすくなります。
ミス③:別表の選択ミス
詳しくは後述しますが、中国製の電動工具を別表第八・第十で申請すると、試験で不適合項目が出やすいケースがあります。
6. 私が実際に対応した電気のこぎりのPSE届出
案件①:PSEマーク+Sマーク取得
1件目はAC100V駆動の電気のこぎりで、PSE対象品として届出・試験・Sマーク取得まで対応しました。
Sマークも取得した理由は、BtoB向けの出荷があり、取引先から第三者認証の提示を求められたためです。
案件②:Sマークのみ取得(PSE対象外)
2件目は消費電力がPSE対象の電気のこぎりの範囲を超える製品でした。そのためPSEマークは表示できませんが、安全性確認のためSマークを取得しました。
PSE対象外であっても、発火・感電などのリスクがゼロになるわけではありません。販売先の要求や安全性担保の観点から、Sマーク取得を選択しました。
別表の選択で学んだこと
1件目の案件で別表第八および第十を選択して試験を実施しました。しかし中国製であったため、国内基準(別表第八・第十)に対して不適合項目が複数発生し、対応に非常に手間がかかりました。
後から振り返ると、別表第十二(国際規格IECベース)を選択していれば、適合できる内容だったと思います。
中国製の電動工具は、設計段階で国際規格を前提としているケースが多いため、別表第十二での試験を第一候補として検討することをおすすめします。
別表の選択については以下の記事も参考にしてください。
7. よくある質問
電動工具に消費電力の上限はある?
→ 電動工具の品目によって異なります。電気のこぎりや電気ドリルなど一般的な電動工具には上限規定がないものもありますが、空気圧縮機など一部の品目には500W以下などの上限があります。個別に確認が必要です。
充電式工具の本体にPSEマークを付けてよい?
→ 工具本体がPSE対象外であれば、PSEマークを表示することはできません。
中国製はすべて別表第十二にすべき?
→ 一概にはいえませんが、中国製品は国際規格(IEC)ベースで設計されているケースが多く、別表第十二の方が不適合項目が出にくい傾向があります。試験機関に相談しながら選択することをおすすめします。
銘板の確認は1製品ずつ必要?
→ 同じシリーズでも型番や消費電力が異なると銘板の内容が変わることがあります。複数品を輸入する場合は1品ずつ確認するのが安全です。
まとめ
- 交流式(AC100V・コード付き)の電動工具はPSE対象
- バッテリー式の工具本体はPSE対象外だが、充電器はPSE対象
- 直流式(DC専用)はPSE対象外
- 銘板の記載事項は製品ごとに確認が必要
- 中国製は別表第十二での試験を第一候補として検討するのがおすすめ
- PSE対象外でも安全性確認(Sマーク取得など)の検討を
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