PSE対応を進める中で「これはどうすればいいのか」と迷う場面は多くあります。
今回は、15年以上のPSE実務経験をもとに、輸入事業者からよく聞かれる疑問をQ&A形式でまとめました。基礎的な疑問から実務上のグレーゾーンまで、実際の現場目線で回答します。
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【基礎編】PSEの基本的な疑問
Q1. 自社製品がPSE対象かどうかわからない。どうやって確認すればよい?
A. まず経済産業省が公表している電気用品名一覧で確認します。ポイントは製品名ではなく「電気用品名」で判断することです。例えば「ノンフライヤー」という製品名では出てきませんが、電気用品名では「電気天火」に該当します。
一覧で見つからない・判断できない場合は、管轄の経済産業局に問い合わせてください。試験機関でも教えてもらえますが、法律上の最終判断はMETI(経済産業省)が行います。
Q2. 特定電気用品と非特定電気用品の違いは何ですか?
A. 最大の違いは第三者機関による検査が必要かどうかです。
- 特定電気用品(◈PSEマーク):登録検査機関による適合性検査が必須。適合同等証明書の取得が必要。直流電源装置・漏電遮断器などが該当。
- 非特定電気用品(○PSEマーク):自主検査でOK。電気掃除機・電気ストーブなどが該当。
特定電気用品の方が手続きが複雑で費用・時間がかかります。仕入れ前に必ず確認してください。
Q3. PSEマークの「ひし形(◈)」と「丸型(○)」はどう違うの?
A. ◈(ひし形)は特定電気用品、○(丸型)は非特定電気用品のマークです。製品に表示できるマークは電気用品名によって決まっており、誤ったマークを表示することは違反になります。
【届出編】事業届出に関する疑問
Q4. 事業届出はいつまでに提出すればよい?
A. 電気用品の輸入を開始した日から30日以内に届出が必要です。事前に届出する必要はありませんが、30日を超えると届出義務違反になります。輸入前から準備を進めておくことをおすすめします。
Q5. 事業届出はどこに提出する?
A. 保安ネット(電子届出システム)から提出します。2026年6月30日に紙郵送での受領印返送サービスが終了したため、現在は保安ネット一択です。保安ネットを利用するためにはgBizIDプライムの取得が必要です(取得に約1週間かかります)。
Q6. 届出後に製品の仕様変更があった場合はどうする?
A. 変更の内容によって対応が異なります。型式区分が変わる場合は変更届出が必要です。変更届出をせずに異なる仕様の製品を輸入・販売すると違反になります。実務上、変更届出漏れは多くの違反事例に含まれている注意すべきポイントです。
Q7. 同じ製品を複数の会社が輸入している場合、1社が届出すれば他社は不要?
A. いいえ。輸入事業者ごとに届出が必要です。他社が届出済みであっても、自社が届出をしていなければ違反になります。「他社も同じことをしている」という理由は免罪符になりません。
【試験・検査編】試験と自主検査に関する疑問
Q8. 別表第八・第十と別表第十二はどちらを選べばよい?
A. 中国製品の場合は別表第十二(国際規格IECベース)を第一候補として検討することをおすすめします。中国製品は国際規格ベースで設計されているケースが多く、別表第八・第十(国内基準)では不適合項目が出やすい傾向があります。ただし製品によって最適な別表は異なるため、試験機関に相談しながら選択してください。
Q9. 試験で不適合になった場合、試験機関はアドバイスしてくれる?
A. 試験機関は不適合の対策についてアドバイスをしない立場です。METIから「試験機関はアドバイスをしないように」という指導があるためと聞いています。対策は製造工場と相談しながら進めることになります。どうしても判断がつかない場合はMETIや技術コンサルタントへの相談も検討してください。
Q10. 自主検査は誰がどこで行う?
A. 自主検査は製造工場が実施します。日本の輸入事業者はその記録を受け取り、3年間保存する義務があります。日本向けが初めての工場との取引では、自主検査記録とは何かを最初から説明しなければならないケースがあります。
Q11. テストレポートと自主検査記録は別物?
A. はい、全く別の書類です。
- テストレポート:試験機関が発行する試験結果の報告書
- 自主検査記録:工場が製品ごとに作成する検査記録
両方が必要です。テストレポートがあれば自主検査記録は不要、という認識は誤りです。
【書類編】証明書・記録に関する疑問
Q12. 適合同等証明書のPDFスキャンは副本として有効?
A. 無効です。適合同等証明書の副本は試験機関から発行された紙の原本が必要です。スキャンしたPDFは副本として認められません。この点を知らずにPDFのみで保管している事業者が非常に多いため注意してください。副本の発行には数万円の費用がかかります。
Q13. 適合同等証明書に有効期限はある?
A. 法律上の有効期限は定められていませんが、製品仕様・製造工場の変更があった場合は再取得が必要になることがあります。また、直流電源装置などではPSE取得済み製品の証明書に実質的な有効期限が設けられているケースがあります。有効期限の半年前には工場に更新依頼を開始することをおすすめします。
【Amazon・販売編】販売に関する疑問
Q14. AmazonからPSE書類の提出を求められた。何を提出すればよい?
A. 主に以下の書類が求められます。
- 保安ネットの届出受理完了画面PDF(旧:受領印付き届出書)
- PSEマークが表示された銘板の写真
- 自主検査記録(非特定電気用品の場合)
- 適合同等証明書の副本(特定電気用品の場合)
Q15. PSE対象外の製品なのにAmazonからPSE書類を求められた。どうする?
A. 製品がPSE対象外である旨を説明してください。例えば同梱の充電器(直流電源装置)が含まれていない場合は「充電器は同梱されていません」と回答するだけで問題ありません。対象外の根拠(電気用品名一覧に該当しないこと・消費電力の上限を超えていることなど)を説明できれば対応できます。
Q16. メルカリでの個人販売もPSE対応が必要?
A. 事業として販売する場合はPSE対応が必要です。「個人だから大丈夫」「メルカリだから大丈夫」ということはありません。継続的に電気用品を販売している場合は事業とみなされる可能性があります。
【コスト・スケジュール編】費用と期間に関する疑問
Q17. PSE試験にかかる費用はどれくらい?
A. 数十万円から百万円を超えるケースまで幅があります。試験規格の数・テストレポートの有無・試験機関・不適合の発生有無によって大きく変わります。テストレポートは必ず発行してください。省略すると後からAmazon出品・行政調査に対応できなくなるリスクがあります。
Q18. PSE対応にはどれくらい時間がかかる?
A. 標準的なケースで1〜2ヶ月、複合規格・複雑な製品では2〜3ヶ月以上かかります。不適合が発生するとさらに1〜2ヶ月追加になります。販売開始の3〜6ヶ月前には試験を開始することをおすすめします。
【違反リスク編】違反に関する疑問
Q19. PSE違反が発覚するとどうなる?
A. ネットパトロール・試買テスト・立入検査などで違反が発覚した場合、段階的に以下の措置が取られます。
- 報告徴収(経産省からの問い合わせ)
- 立入検査
- 表示禁止命令・回収命令
- 社名公表
- 罰則(個人:1年以下の懲役または100万円以下の罰金、法人:1億円以下の罰金)
Q20. OEM商品でもPSEは必要?
A. はい。OEM商品であっても日本での販売者(輸入事業者)がPSE対応の責任を負います。「製造は中国メーカーだから責任はない」ということにはなりません。PSEマークには輸入事業者名(自社名)の表示が必要です。
まとめ
PSE対応で迷う場面は多くありますが、基本的な考え方は以下のとおりです。
- 判断に迷ったら最終的にMETIに確認する
- 「知らなかった」は免罪符にならない
- 仕入れ前に電気用品名・特定か非特定か・費用・期間を確認する
- 書類は正しく・期限内に・紛失しないように管理する
このQ&Aで解決しない疑問がある場合はお気軽にご相談ください。


