「PSE違反をしたらどうなるのか」という疑問を持つ方は多いですが、具体的な罰則や違反の経緯を正確に把握している事業者は少ないのが現状です。
PSE違反は「知らなかった」では済まされません。実際に摘発・社名公表・回収命令が行われており、法人の場合は1億円以下の罰金が科せられる可能性があります。
今回は、PSE違反の罰則の種類・摘発の仕組み・実際の違反事例・違反が発覚した場合の対応まで解説します。
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1. PSE違反の罰則
電気用品安全法に違反した場合の罰則は以下のとおりです。
| 違反内容 | 個人への罰則 | 法人への罰則 |
|---|---|---|
| PSEマーク未表示品の販売・陳列 義務不履行でPSEマークを表示 技術基準不適合品へのPSEマーク表示 |
1年以下の懲役 または100万円以下の罰金 (または両方) |
1億円以下の罰金 |
| 届出の未提出・虚偽届出 報告徴収への未報告・虚偽報告 立入検査の拒否・妨害 |
30万円以下の罰金 | 30万円以下の罰金 |
特に重要なのは、法人(会社)が違反した場合は1億円以下の罰金という点です。個人での違反(100万円以下)と比べて桁違いの罰則です。中小企業であっても法人として販売している場合は1億円の罰金リスクがあることを認識してください。
2. 罰則以外の行政措置
PSE違反に対してMETIが取りうる措置は罰則だけではありません。段階的に以下の措置が取られます。
- 報告徴収
経済産業大臣が事業者に対して報告を求めます。正当な理由なく報告しない・虚偽の報告をした場合は罰則の対象になります。 - 立入検査
事業所への立入検査が実施されます。検査を拒否・妨害した場合は罰則の対象になります。 - 表示の禁止命令
技術基準不適合・自主検査義務違反などの場合、1年以内の期間を定めてPSEマークの表示を禁止されます。 - 危険等防止命令(回収命令)
技術基準不適合品を販売した場合、危険防止のために回収・廃棄・修理などの措置を命じられます。 - 社名公表
METIが複数回連絡しても回答がない「連絡不通事業者」として社名が公表されます。
3. どのように摘発されるのか
PSE違反がどのような経緯で発覚するのかを把握しておくことは重要です。主なルートは以下の3つです。
①ネットパトロール
経済産業省はインターネット上(Amazon・楽天・メルカリなど)でPSEマーク未表示品・表示不備品を常時監視しています。これを「ネットパトロール」と呼びます。
ネットパトロールで違反が疑われる製品が発見されると、販売事業者に対して問い合わせ・確認が行われます。回答できない・対応しない場合は連絡不通事業者として社名公表の対象になります。
②試買テスト
経済産業省・自治体が市場で実際に製品を購入し、技術基準への適合性を検査します。これを「試買テスト」と呼びます。
試買テストでPSEマークがあっても不適合と判定されるケースがあります。PSEマークを表示していれば安全というわけではなく、実際に技術基準に適合していることが求められます。なお、試買テストの結果は公表されることがあり、不適合が確認された製品の事業者名が明らかになります。
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③自治体による立入検査
2023年度に各自治体で実施された販売事業者への立入検査は製品安全4法での合計で約6千件に上ります。ディスカウントストア・家電量販店・ホームセンター・低価格ショップ・中古品取扱店などが主な対象です。実店舗で販売している事業者も例外ではありません。
4. 実際の違反事例(METIの公表資料より)
経済産業省は「よくある違反事例集」を公表しています。実際に確認された違反のパターンを紹介します。
事例①:型式区分の変更届出漏れ
過去に直流電源装置(定格入力5VA)の製造または輸入の事業届出をしていたが、定格入力15VAのものを製造または輸入することになった際、変更の届出をしなかったというケースがあります。
仕様変更・型番変更があった場合は必ず変更届出が必要です。「以前届出をしたから大丈夫」という認識は危険です。
事例②:銘板表示の不備
以下のような銘板表示の不備が多く確認されています。
- PSEマークと届出事業者名が近接して表示されていない
- 届出事業者名ではなく海外メーカー名が表示されている
- 定格消費電力・定格周波数など必須記載事項の漏れ
- PSEマークの近傍に海外メーカー名が並記されていて届出事業者が不明確
事例③:自主検査記録の不備
自主検査の記録を作成・保存していない、または記録の内容が不十分なケースが多く見られます。立入検査時に記録を提示できなかった場合、義務違反として処罰の対象になります。
事例④:PSEマーク未表示品の販売
PSE対象品にもかかわらずPSEマークなしで販売しているケースがあります。「知らなかった」という理由は免罪符になりません。特にインターネット販売ではネットパトロールで発見されやすい状況です。
事例⑤:連絡不通事業者として社名公表
METIが安全基準への適合を確認するために複数回連絡しても回答がない事業者は「連絡不通事業者」として社名が公表されます。モバイルバッテリー事業者を中心に多数の社名が公表されています。
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5. 2024年の違反対応件数
直近の公表データ(2024年)によると、、試買テストや立入検査等を通じて製品安全4法に抵触するものと経済産業省が確認した違反への対応件数は計769件にのぼります。
この数字は決して少なくありません。「自分だけは大丈夫」という考えは危険です。特にインターネット販売事業者はネットパトロールの対象になりやすく、違反が発見されやすい状況にあります。
6. 違反が発覚した場合の対応
METIから問い合わせ・確認が来た場合、誠実に対応することが最も重要です。無視・回答拒否は状況を悪化させるだけです。
違反が発覚した場合の基本的な対応
- 販売を即時停止する:違反が疑われる製品の販売・陳列をすぐに止める
- METIの問い合わせに誠実に回答する:無視・虚偽回答は厳禁
- 違反内容を確認する:何が違反なのかを正確に把握する
- 是正措置を取る:PSE対応を正しく実施する
- 在庫品の扱いをMETIに確認する:回収が必要かどうかを確認する
⚠️ 「知らなかった」は通用しない
電気用品安全法は事業者が自ら法律を理解し、義務を履行することを前提としています。「PSEのことを知らなかった」「他社も同じことをしていた」という理由は違反の免責にはなりません。輸入・販売事業者として法律を理解する責任があります。
7. よくある質問
PSEマークがあれば違反にならない?
→ PSEマークがあっても、技術基準に適合していない・自主検査記録がない・届出が正しくないなどの場合は違反になります。マークの表示だけでなく、すべての義務を履行していることが必要です。
個人でも罰則の対象になる?
→ はい。個人事業主として販売している場合も罰則の対象です。「個人だから大丈夫」ということはありません。
中古品の販売はどうなる?
→ 事業として中古の電気用品を販売する場合もPSE対応が必要になる場合があります。中古品の扱いについてはMETIに確認することをおすすめします。
海外から直接日本に販売する場合は?
→ 2025年12月25日以降、海外メーカーであってもオンラインモール等に出品して日本の消費者に直接販売する場合は「特定輸入事業者」として届出・PSEマーク表示などの義務があります。
まとめ
- PSE違反の罰則は個人で1年以下の懲役または100万円以下の罰金
- 法人の場合は1億円以下の罰金
- 罰則以外にも表示禁止命令・回収命令・社名公表などの行政措置がある
- 摘発ルートはネットパトロール・試買テスト・自治体立入検査の3つ
- 2024年に769件の違反が確認されている
- よくある違反は型式区分変更届出漏れ・銘板不備・自主検査記録不備・PSEマーク未表示
- 連絡不通事業者は社名が公表される
- 「知らなかった」は通用しない・問い合わせには誠実に対応する
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