リチウムイオンバッテリーを搭載した軽量コードレス掃除機の輸入が増えています。こうした製品を扱う際、「PSE対応は必要なのか?」と迷う方は少なくありません。
結論から言うと、軽量コードレス掃除機に内蔵されたリチウムイオンバッテリーは、条件次第でPSE対象外になります。
ただし「PSE対象外だから何もしなくてよい」というわけではありません。今回は、対象外になる条件・体積エネルギー密度の計算方法・同梱充電器の扱い・Amazon出品時の注意点まで、実務目線で解説します。
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1. コードレス掃除機のリチウムイオンバッテリーがPSE対象外になる理由
電気用品安全法では、リチウムイオン蓄電池のPSE対象を以下のように定義しています。
PSE対象となるリチウムイオン蓄電池の条件(両方を満たすもの)
- 単電池1個あたりの体積エネルギー密度が400Wh/L以上
- ユーザーが交換可能な構造のもの
つまり、以下のいずれかに該当する場合はPSE対象外になります。
- 体積エネルギー密度が400Wh/L未満の場合
- バッテリーが内蔵型でユーザーが交換できない構造の場合
軽量コードレス掃除機の多くは、バッテリーが本体に内蔵されており、ユーザーが工具なしで交換できない構造になっています。この場合、体積エネルギー密度が400Wh/L以上であってもPSE対象外となります。
さらに体積エネルギー密度が400Wh/L未満であれば、交換可能な構造であってもPSE対象外です。
つまり内蔵型かつ体積エネルギー密度400Wh/L未満であれば、いずれの条件でも対象外となります。
2. 体積エネルギー密度400Wh/Lの計算方法
「PSE対象かどうか」を判断するために、体積エネルギー密度を自分で計算する必要が生じることがあります。初めて計算する方にとっては戸惑いやすいポイントなので、手順を丁寧に解説します。
計算式
体積エネルギー密度(Wh/L)=(定格電圧(V)× 定格容量(Ah))÷ 体積(L)
- 定格電圧:単位はV(ボルト)
- 定格容量:単位はAh(アンペアアワー)※mAhの場合は÷1000してAhに変換
- 体積:単位はL(リットル)※mm³やcm³からの変換が必要
体積の計算方法
円筒形電池(18650形など)の場合:
体積(mm³)= 半径(mm)² × 3.14 × 高さ(mm)
体積(L)= 体積(mm³)÷ 1,000,000
角形電池(パウチ型・角型)の場合:
体積(mm³)= 縦(mm)× 横(mm)× 厚み(mm)
体積(L)= 体積(mm³)÷ 1,000,000
計算例①:円筒形電池(18650形)
仕様例
- 定格電圧:3.6V
- 定格容量:2,500mAh → 2.5Ah
- 直径:18mm(半径9mm)、高さ:65mm
計算
体積 = 9² × 3.14 × 65 = 16,502mm³ = 0.016502L
体積エネルギー密度 =(3.6 × 2.5)÷ 0.016502 = 約545 Wh/L
→ 400Wh/L以上のためPSE対象(ユーザー交換可能な場合)
計算例②:角形電池(パウチ型)
仕様例
- 定格電圧:3.7V
- 定格容量:2,000mAh → 2.0Ah
- サイズ:60mm × 40mm × 5mm
計算
体積 = 60 × 40 × 5 = 12,000mm³ = 0.012L
体積エネルギー密度 =(3.7 × 2.0)÷ 0.012 = 約617 Wh/L
→ 400Wh/L以上のためPSE対象(ユーザー交換可能な場合)
仕様書に記載がある場合
体積エネルギー密度は、電池メーカーの仕様書(スペックシート)に記載されていることがほとんどです。仕様書に記載がある場合は計算する必要はなく、その値を使用してください。
仕様書に記載がない場合のみ、上記の計算式で算出します。
3. PSE対象外でも安全試験は実施すべき理由
「PSE対象外だから何もしなくてよい」と考えるのは危険です。
PSE対象外であっても、リチウムイオンバッテリーが発火・爆発するリスクはゼロではありません。実際に市場では、PSE対象外製品による事故も発生しています。
当社では、PSEの義務がない製品であっても、IEC62133-2(リチウムイオン電池の安全性試験規格)の試験要求に基づいた試験を実施し、試験レポートを入手しています。
IEC62133-2は、ポータブル機器用のリチウムイオン電池・電池パックの安全性を評価する国際規格です。PSEとは別の基準ですが、安全性を客観的に担保するための有効な手段です。
⚠️ PSE対象外でも推奨する安全確認
- IEC62133-2に基づく試験の実施・レポートの入手
- 電池メーカーからの仕様書・安全データの取得
- 万が一の際に試験レポートを提示できる状態にしておく
4. 同梱の直流電源装置はPSE対象になる
コードレス掃除機本体・内蔵バッテリーがPSE対象外であっても、同梱される充電器(直流電源装置)はPSE対象になります。
同梱状況によるPSE対象の違い
- 充電器が同梱されていない場合 → PSE対象なし
- 充電器が同梱されている場合 → 充電器(直流電源装置)がPSE対象
直流電源装置は特定電気用品(◈PSEマーク)のため、第三者機関による適合性検査が必要です。
直流電源装置はPSE取得済を購入する方が早い
直流電源装置は特定電気用品のため、自社で試験・届出を行う場合、費用と時間がかかります。
実務上、すでにPSEを取得済の直流電源装置を購入・調達する方が、圧倒的に楽で早いです。当社でも同梱する充電器はPSE取得済の製品を購入して使用しています。
PSE取得済の直流電源装置を選ぶ際の確認ポイント:
- ◈PSEマークが表示されているか
- 適合同等証明書が発行されているか
- 出力電圧・電流が自社製品の仕様と一致しているか
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5. AmazonでPSE書類を求められた場合の対応
コードレス掃除機をAmazonに出品する際、直流電源装置が同梱されていない場合でも、AmazonからPSE関連書類の提出を求められるケースがあります。
おそらく製品内容が不明なため、一律で確認を求めてくるものと思われます。
この場合の対応は、「直流電源装置(充電器)は同梱されていません」と回答するだけで問題ありません。
Amazon側が確認したいのは、PSE対象品が適切に対応されているかどうかです。対象品が含まれていないことを明示すれば、問題なく解決します。
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6. よくある質問
コードレス掃除機本体にPSEマークは必要?
→ 電動力応用機械器具の「電気掃除機」として別途PSE対象になる場合があります。バッテリーとは別に、掃除機本体のPSE対象判断も必要です。
体積エネルギー密度の計算は誰に依頼すればよい?
→ 電池メーカーに仕様書の提供を求めるのが最も確実です。仕様書に記載がない場合は、試験機関に相談することもできます。
IEC62133-2の試験はどこで受けられる?
→ SGS・TÜV・UL・JETなどの国際的な試験機関で受けることができます。費用・期間は試験機関によって異なるため、複数社に見積もりを依頼することをおすすめします。
PSE取得済の直流電源装置はどこで購入できる?
→ 中国メーカーの中にもPSE取得済の充電器を販売しているところがあります。仕入れ先に「PSE取得済の充電器を供給できるか」を確認してみてください。
まとめ
- 軽量コードレス掃除機のリチウムイオンバッテリーは、内蔵型かつ体積エネルギー密度400Wh/L未満であればPSE対象外
- 体積エネルギー密度は「(定格電圧×定格容量)÷体積」で計算する
- 仕様書に記載がある場合はその値を使用する
- PSE対象外でもIEC62133-2の試験を実施して安全性を担保することを推奨
- 同梱の充電器(直流電源装置)はPSE対象(特定電気用品)になる
- 直流電源装置はPSE取得済の製品を購入する方が楽で早い
- AmazonでPSE書類を求められた場合は「充電器は同梱されていない」と回答すればOK
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