電気圧力なべのPSE・PSC対応実務|電気用品名の判断・ 試験機関の選び方・届出事業者名の決め方

実務ガイド

電気圧力なべを輸入・販売する場合、PSE(電気用品安全法)とPSC(消費生活用製品安全法)の2つの法律への対応が必要です。

どちらか一方だけでは不十分です。両方の対応が揃って初めて日本市場で販売できます。

今回は、私が実際に電気圧力なべのPSE・PSC対応を行った経験をもとに、電気用品名の判断・試験機関の選び方・届出事業者名の決め方まで実務目線で解説します。

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1. 電気圧力なべの電気用品名は「その他の調理用電熱器具」

PSE申請を進めるにあたり、まず確認すべきことは「自社製品がPSEのどの電気用品名に該当するか」です。

電気圧力なべは、PSEの電気用品名では「その他の調理用電熱器具」に該当します。

ただし、「電気圧力なべ」という製品名で直接検索しても、電気用品名の一覧には出てきません。最初は「本当にこれで合っているのか?」と戸惑う方が多いです。

不明な場合の問い合わせ先

電気用品名の判断に迷った場合は、以下に問い合わせることができます。

  • 管轄の経済産業局(経済産業省の地方機関):最終的な公式見解はここで確認する
  • 試験機関:実務上の判断を教えてもらえることが多い

試験機関でも教えてもらえますが、法律上の最終見解はMETI(経済産業省・経済産業局)が出すものです。重要な判断は必ず経済産業局に確認するようにしてください。

管轄の経済産業局の調べ方

自社の所在地によって管轄の経済産業局が異なります。経済産業省のウェブサイトで「経済産業局 管轄」と検索し、自社の所在地に対応する経済産業局に問い合わせてください。

2. PSE試験:別表第十二×中国工場名で申請した理由

私が対応した案件では、別表第十二(国際規格IECベース)を選択し、申請者を中国の製造工場名として試験・届出を進めました。結果として、試験はスムーズにPASSすることができました。

別表第十二を選んだ理由

電気天火(ノンフライヤー)の記事でも解説しましたが、中国製品は国際規格(IEC)ベースで設計されているケースが多く、別表第八・第十(国内基準)では不適合項目が出やすい傾向があります。

別表第十二を選ぶことで、中国製品の設計と試験基準の整合性が取りやすく、不適合項目を最小限に抑えることができます。

○PSEは自主認証:試験機関選びが重要

電気圧力なべ(その他の調理用電熱器具)は特定電気用品以外の電気用品(○PSEマーク)です。

○PSEは自主認証のため、試験機関はどこを使っても法律上は問題ありません。しかしこれが落とし穴になることがあります。

PSEをよく理解していない試験機関に依頼すると、本来はNGとなるべき試験項目でPASSになってしまうケースがあります。

その後、経済産業省や第三者機関が行う市場での試買テストで不適合と判定された場合、販売停止・回収命令のリスクがあります。試験でPASSすれば終わりではありません。

⚠️ 試験機関選びの注意点

  • 安価・短納期をうたう試験機関には注意が必要
  • 特定電気用品のPSEも取り扱っている実績ある機関を選ぶ
  • 推奨する試験機関:UL・JQA・JETなどの国際的・国内実績のある機関

3. 届出事業者名:自社名か工場名か

PSE試験・届出を進める際、届出事業者名を「自社名」にするか「中国工場名」にするかで、後の販売権や費用負担が変わります。実務上、この判断で迷う方は非常に多いです。

自社名で届出した場合

自社名(日本の輸入事業者名)で届出すると、その製品の日本国内での販売権は実質的に自社のみとなります。

理由は、PSEマークには届出事業者名の表示が義務付けられており、自社名が表示された製品を他社が輸入・販売することはできないためです。

ビジネス上のメリット:

  • 競合他社が同じ製品を日本で販売しにくくなる
  • 独自ブランドとして差別化しやすい

デメリット:

  • 自社が撤退・廃業した場合、同じ製品が日本市場から消える
  • 試験費用は自社負担になることが多い

工場名(中国メーカー名)で届出した場合

中国製造工場名で届出した場合、その工場から製品を輸入する日本の事業者であれば、誰でも同じ製品を販売できる状態になります。

これはPSEの認証が「製品の型式」と「製造工場」に紐付いているためです。工場名が届出事業者名になっている場合、複数の日本企業がその工場から同じ製品を輸入して販売することができます。

メリット:

  • 自社が撤退した後も、他の日本企業が同じ製品を販売し続けられる
  • 試験費用を工場側に負担してもらえるケースが多い

デメリット:

  • 競合他社が同じ製品を輸入・販売できる状態になる
  • 価格競争に巻き込まれるリスクがある

どちらを選ぶべきか

判断の目安

  • 独占販売・自社ブランドを重視したい → 自社名
  • 試験費用を抑えたい・撤退後のリスクを考えたい → 工場名
  • 当社の場合:工場名で届出し、試験費用は工場負担としました

4. PSCマークとは?電気圧力なべに必要な理由

電気圧力なべはPSEに加えて、PSC(消費生活用製品安全法)への対応も必要です。

PSCとは

PSCとは、消費生活用製品安全法(Product Safety of Consumer Products)に基づく安全規制です。一般消費者の生命・身体に対して特に危害を及ぼすおそれが多い製品を「特定製品」として指定し、PSCマークの表示を義務付けています。

PSEとPSCの違い

項目 PSE PSC
根拠法 電気用品安全法 消費生活用製品安全法
対象品目数 457品目 10品目
マーク ◈または○PSE ○PSC
電気圧力なべ ○PSE対象 PSC対象(特定製品)

電気圧力なべのPSC対応

家庭用の圧力なべ及び圧力がまはPSCの特定製品に指定されており、事業者が自主検査で技術基準への適合を確認し、PSCマークを表示することが義務付けられています。

PSCの特定製品は自主検査で対応できます(特別特定製品ではないため第三者機関による検査は不要)。ただし、PSEと同様に自主検査の記録を適切に保存する義務があります。

5. PSEとPSCの試験を同時に進める方法

PSEとPSCは別々の法律ですが、試験を同時に進めることで時間と費用を節約できます。

実務上のポイント:

  • UL・JQA・JETなどの主要試験機関はPSEとPSCの両方に対応している
  • 試験依頼の際に「PSEとPSCを同時に実施したい」と伝えると効率的
  • 試験に使用するサンプルを同時に提出できる
  • 試験スケジュールを合わせることで販売開始時期を早められる

別々に進めると試験費用・期間・サンプル費用が2倍かかります。最初から同時進行で計画することを強くおすすめします。

6. よくある質問

電気圧力なべと炊飯器はPSCの扱いが違う?
→ はい。電気圧力なべ・圧力釜はPSC対象ですが、電気圧力がま(炊飯器)はPSC対象外です。製品の機能・仕様によって判断が変わるため、迷う場合は経済産業局に確認してください。

○PSEの自主検査記録はいつまで保存すればよい?
→ 検査の日から3年間保存する義務があります。

届出事業者名を途中で変更できる?
→ 変更届出を提出することで変更可能です。ただし手続きが発生するため、最初に慎重に判断することをおすすめします。

PSCの試験費用はどれくらい?
→ 試験機関・製品によって異なりますが、PSEと合わせて依頼することで費用を抑えられるケースがあります。試験機関に見積もりを依頼してください。

まとめ

  • 電気圧力なべの電気用品名は「その他の調理用電熱器具」
  • 電気用品名が不明な場合は管轄の経済産業局に問い合わせる
  • 中国製品は別表第十二での試験が不適合項目を減らしやすい
  • ○PSEは自主認証のため試験機関選びが重要(UL・JQA・JETを推薦)
  • 怪しい試験機関でPASSしても市場の試買テストでNGになるリスクがある
  • 届出事業者名は自社名(独占販売)か工場名(試験費用節約)かを戦略的に判断する
  • 電気圧力なべはPSCも対象のため同時対応が効率的
  • PSEとPSCの試験は同時進行で進めると時間・費用を節約できる

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